現代では、誰が言い出したのかも定かではない“中世の人は不潔であった”という定説がまことしやかに囁かれています。私も聞いた事があり、そうなのだろうと思っていました。しかし実は、彼らも私たち現代人と同じく、ほとんどの人が毎日のように入浴をするという文化がしっかりと根づいてたのです。とはいえ、一部の貴族を除いて自宅にバスタブがある訳ではありません。では、どのような入浴を楽しんでいたのでしょうか?
さまざまな病気
浴槽自体の話だと、中世の時代は今の様に塩素でお風呂を細菌する様な考えも無く、衛生状態は決して良くは無かったと言われています。
そもそも中世の時代では塩素がまだ発見されておらず、バクテリアや病気の蔓延を防ぐものが何もありませんでした。自宅にバスタブなんてない人がほとんどだったので、銭湯の様な公衆浴場施設に多くの人間が一緒に入浴したり泳いだりしていれば、当然ばい菌だらけになるのは時間の問題です。今と違って定期的にお風呂のお湯を入れ替えて居たとも考え難いです。
治安の面
現代のような文明社会では、公衆浴場での性的虐待行為が発見されればすぐに犯人はその場で処罰されますが、昔はそうではなかったようです。欲求不満な人や酔っ払い、特殊な性癖を持った大人達がやましい事を目的に子供を狙ったり、逆手に取った売春なども横行するように…。至る浴場施設でそういうことが頻繁に起こっていて、当時は大きな社会問題になっていました。
中世社会
歴史の教科書によると、昔から売春宿の前には公衆浴場があったと言われています。今では考えられませんが、宿で見つけた女性をそのまま公衆浴場に連れ込み、大勢の前で性行為を行う人もちらほらいたとか。
たったの数世紀で人々の知恵も磨かれていき、そうした習慣は見られなくなりました。
確かに中世の生活は衛生面では現代人には劣る面もあるかもしれない。それだけ現代人は綺麗な状態で過ごす事ができています。多少のばい菌にも抵抗力を無くしワクチンや薬が無いと生きていけないような進化を遂げてしまった現代人と、ワクチンなども存在せずに不衛生な環境でもたくましく育ってきた中世人たちと比べると、一体どっちが正しいのかは分からない気がします。